あしなが育英会とは?返済不要の奨学金制度と申請の流れを徹底解説|対象者・支援内容・注意点まで網羅
- あしなが育英会の奨学金制度とは
- 支給内容と給付条件|いくらもらえる?誰がもらえる?
- 申請方法とスケジュール|いつ・どこで申し込む?
- 採用のポイントと注意点|選考基準・審査の実情
- あしなが育英会の「心塾」や「レインボーハウス」とは?
- 他の奨学金との違いは?JASSOや民間財団との比較
- あしなが育英会を活用した進学事例
- よくある質問(FAQ)
- あしなが育英会の奨学金を希望する方へ
あしなが育英会の奨学金制度とは
どんな団体が運営している?支援の背景と理念
あしなが育英会は、病気・災害・自死などで親を亡くした子どもや、親が重度障がいを持つ家庭の子どもを支援する公益財団法人です。
その活動は1960年代に始まり、半世紀以上にわたり、経済的に困難な状況にある遺児たちの学びの機会を守るという理念に基づいて発展してきました。
名前の由来は「足ながおじさん」という物語にちなんでおり、「顔の見えない誰かが、自分の未来を信じて支えてくれている」という温かいメッセージを体現しています。
単なる金銭的支援にとどまらず、精神的な支えや社会とのつながりを重視しているのが、他の奨学金制度とは異なる大きな特徴です。
対象となる学生・支援対象の家庭状況
あしなが育英会の奨学金は、一定の家庭状況に該当する学生を対象としています。
主な支給対象は以下の通りです。
- 親のいずれかまたは両方を病気・災害・自死で亡くした方(遺児)
- 親が重度の障がいを抱えており、働くことが難しい状況にある家庭の子ども
- 高校・専門学校・大学・大学院へ進学または在学中の学生
また、支援の対象となるには、家庭の収入状況が一定以下であることが条件とされています。
経済的困窮の度合いは、住民税非課税世帯や生活保護世帯などであることが目安になります。
給付型・貸与型の2タイプの仕組みを解説
あしなが育英会では、大きく分けて2つの奨学金制度を用意しています。
- * 高校奨学金(無利子貸与型):月額1万2000円。高校在学中に貸与される形式ですが、高校卒業後5年以内に返済する必要があります(無利子)。ただし、進学後も支援が続くケースが多く、継続的なサポートの第一歩です。
- * 大学奨学金(無利子貸与型)+特別一時金(給付型):大学生には、月額3万円または5万円(選択制)の貸与型奨学金に加え、進学時に一時金として給付される支援金(年40万円)も用意されています。この一時金は返済不要であり、入学金や初期費用に充てられる貴重な資金源です。さらに、大学卒業後も進学する場合(大学院など)には、継続支援の制度が設けられており、長期的に学び続けることを可能にする柔軟な設計となっています。
支給内容と給付条件|いくらもらえる?誰がもらえる?
奨学金の金額(月額支給・進学一時金)
支給金額は学年・在籍先によって異なります。
最新の内容は以下の通りです。
- 高校生:月額1万2,000円(貸与/無利子)
- 大学生・短大・専門学生:月額3万円または5万円(貸与/無利子)
- 特別一時金:進学時に給付される40万円(給付型/返済不要)
あしなが育英会の奨学金の特筆すべき点は、無利子であるにもかかわらず、返済計画に柔軟性があることです。
将来的に経済状況が厳しい場合には、返済の猶予や免除制度が検討されるケースもあるため、非常に学生思いの制度と言えます。
高校・大学・専門学校での違い
あしなが育英会は、高校から大学・大学院まで一貫して支援する制度を整えています。
ただし、高校奨学金は貸与型のみであり、大学進学時に初めて給付型の特別一時金が登場します。
また、大学・短大・専門学校のいずれにも対応している点も魅力です。
専門学校や高等専門学校(高専)に進学する場合も支援を受けられるため、幅広い進路の選択肢を確保できます。
支給期間・延長の可能性・返済義務の有無
原則として、奨学金の支給期間は在学中の年限に準じています。
たとえば、大学なら4年間、短大なら2年間の支給が基本です。
ただし、やむを得ない事情で留年した場合などに支援期間が延長されることもあります(要申請・審査あり)。
なお、高校・大学の貸与型奨学金については卒業後に返済義務がある一方で、特別一時金は給付型であり返済不要です。
申請方法とスケジュール|いつ・どこで申し込む?
申請に必要な書類一覧と記入のポイント
申請には以下の書類が必要になります。
- 奨学金申請書(指定様式)
- 成績証明書(最新年度分)
- 戸籍謄本・住民票など家族構成の証明
- 所得証明書(保護者または本人の収入)
- 遺族年金受給証明書(遺児の場合)
- 本人の作文(志望理由書)
作文は、どんな目的で奨学金を利用したいのか、将来どんな社会人になりたいかを記載する欄です。
ここでは、「経済的に困っている」という事実だけでなく、自分の夢や志、社会との関わり方を言葉にすることが、選考において非常に重要となります。
学校を通じた申し込み?個人申請?
あしなが育英会の奨学金は、学校を通じて申し込むのが基本です。
まずは進学先または在籍校の奨学金担当窓口(学生課・教務課など)に相談しましょう。
ただし、年度途中で家庭状況に変化があった場合や、進学前の段階では、あしなが育英会のウェブサイトから直接資料請求や申請書のダウンロードが可能です。
いずれにせよ、申請開始から締切までの期間は短めなので、早めの準備が鍵となります。
年度ごとのスケジュールと選考の流れ
毎年、春(3月〜4月)および秋(9月〜10月)に募集が行われるのが通例です。
具体的なスケジュールは以下のようになります。
- 募集要項の公表・資料配布
- 申請書類の提出(学校経由または郵送)
- 書類審査・作文審査
- 合否通知(約1ヶ月後)
- 支給開始(4月または10月)
なお、選考結果の通知は郵送または学校経由で行われます。
採用された場合は、奨学生としての義務(ボランティア活動など)についての説明も別途あります。
採用のポイントと注意点|選考基準・審査の実情
家計基準・成績基準・人物評価のバランス
あしなが育英会の奨学金では、家計状況・学業成績・人物評価の3つが総合的に審査されます。
特に重視されるのが、申請者の家庭環境と経済的困難さです。
「病気で親を亡くした」「事故や災害、自死によって収入を失った」といった状況を証明するための書類が必要となり、それと合わせて、収入の証明・住民税非課税証明などが用いられます。
成績については「トップクラスでなければいけない」ということはありませんが、日常的に真面目に学業へ取り組んでいる姿勢が伝わるかどうかが問われます。
作文や志望理由書では、本人の価値観や目標、社会への貢献意識が重視されます。
ボランティア活動が評価にどう影響するか
あしなが育英会では、「助けられた人が、次は誰かを支える側になる」という循環を大切にしています。
そのため、ボランティア活動や社会貢献活動への関心と参加意欲が評価にプラスに働くことが多くあります。
たとえば、街頭募金活動や地域での福祉支援、学校内での生徒会活動など、他者のために行動した経験は、審査の中で高く評価される要素です。
落ちやすいパターンと注意すべき書類のミス
不採用となるケースにはいくつかの共通点があります。
たとえば:
- 作文が定型文的で熱意が伝わらない
- 書類に不備や記載漏れがある
- 家庭状況が対象に該当しない
- 申請期限に間に合わなかった
特に、作文に対する姿勢は非常に重要です。
「大変です」「お金がない」だけではなく、なぜ学びたいのか、何を実現したいのかというビジョンが明確であるほど、選考の際に好印象を残します。
あしなが育英会の「心塾」や「レインボーハウス」とは?
ただの奨学金じゃない。生活支援・人間関係構築の場
あしなが育英会の最大の特徴のひとつが、「奨学金の支給」にとどまらず、「人としての成長」を支援する場を提供していることです。
代表的なのが、心塾(しんじゅく)と呼ばれる学生寮と、レインボーハウスというグリーフサポート施設です。
心塾での共同生活・ボランティア教育の特徴
心塾は、大学生向けの生活寮で、東京・神戸などに設置されています。
ここでは、全国から集まった遺児学生たちが共同生活を送りながら、自己成長・社会貢献・自己表現について学びます。
朝夕のミーティングや、ボランティア活動の参加、他者との対話を通して、経済的な支援だけでは得られない「人生を支える知恵」を養う場として、高い評価を得ています。
全国のレインボーハウスとの関わり方
レインボーハウスは、親を亡くした子どもや家族のためのグリーフケア(悲嘆支援)施設です。
全国各地に点在し、あしなが育英会がその運営に深く関わっています。
奨学生である中高生や大学生が、自分自身がかつて受けた支援を、今度は支援する側として還元するボランティア活動の場にもなっており、「社会とのつながり」を体感できる場として機能しています。
他の奨学金との違いは?JASSOや民間財団との比較
給付型・返済不要の手厚さ
あしなが育英会の支援は、貸与型だけでなく給付型の特別一時金(進学費用補助)がある点が大きな強みです。
JASSOの給付型奨学金と比較しても、進学直後のまとまった出費に対応してくれる支援金は非常に心強く、他制度にはない柔軟さがあります。
選考対象の明確さ(遺児・経済的困難)
他の奨学金では、成績や在籍校を基準とするものが多いのに対し、あしなが育英会は対象者の家庭環境が明確で、「親を亡くした子ども」または「重度障がいを持つ親を支える子ども」という基準が設けられています。
これにより、一般的な経済支援では取りこぼされやすい層をしっかり救っている点が他制度と大きく異なります。
制度継続性と進学支援の連携の手厚さ
高校から大学・大学院まで、長期にわたって支援を続ける体制を整えているのも特長です。
また、進学支援だけでなく、卒業後の返済支援・就労相談・ボランティア教育までフォローしており、人生全体を支える仕組みといっても過言ではありません。
あしなが育英会を活用した進学事例
高校から大学進学まで支援を受けたケース(仮名紹介)
高校1年生のときに父親を病気で亡くしたAさん(仮名)は、母親と兄弟との生活が急に厳しくなり、進学をあきらめかけていました。
学校の先生からの紹介であしなが育英会の奨学金を知り、高校在学中から月額1万2,000円の貸与を受けるように。
その後、大学進学時には特別一時金40万円の給付と、月額5万円の奨学金(貸与型)を受けることができ、アルバイトに追われることなく、学業と学生会活動に専念できました。
「支援がなければ、今の自分はいない」と話すAさんは、卒業後、地元の教育関係の職に就き、地域に恩返しを始めています。
心塾での経験が人生観を変えたという声
大学進学後に東京の心塾に入居したBさん(仮名)は、全国の仲間たちと共同生活を送りながら、自分の考え方やコミュニケーション能力が大きく変化したと語ります。
「最初はただの寮だと思っていたけど、日々の対話やミーティング、ボランティア活動の経験を通じて、人生を深く考えるようになった」と話し、心塾で得たネットワークは今でも人生の財産となっているそうです。
ボランティア活動が就職や進学に生きた例
大学時代に街頭募金やレインボーハウスでのボランティアに積極的に参加していたCさん(仮名)は、その経験をエントリーシートに書いたところ、企業の採用担当から強く興味を持たれたそうです。
「奨学金をもらって終わりではなく、社会に還元する姿勢が問われていると感じた」と振り返り、今は社会福祉法人に勤務し、自分と同じような境遇の若者の支援に携わっています。
よくある質問(FAQ)
Q. あしなが育英会の奨学金は返済が必要ですか?
高校・大学の月額奨学金は「貸与型」であり、卒業後に返済義務があります。
ただし、無利子であり、柔軟な返済スケジュールが組めます。
一方、進学時の「特別一時金」は給付型で、返済の必要はありません。
Q. 他の奨学金(JASSOなど)と併用できますか?
はい、あしなが育英会の奨学金は、JASSOや大学独自の奨学金制度と併用可能です。
ただし、生活費を含む高額支給制度との重複には条件がある場合がありますので、個別に確認を。
Q. どのタイミングで申し込めばよいですか?
通常、春(3月〜4月)と秋(9月〜10月)の2回の募集があります。
在学中に申し込む場合は、学校の奨学金担当窓口を通して申請します。
進学前の段階では、あしなが育英会の公式サイトから募集要項を取り寄せてください。
Q. 成績があまり良くないと採用されませんか?
学業成績は重要な審査項目のひとつですが、それ以上に「学ぶ意欲」「人間性」「家庭状況」が総合的に評価されます。
真面目に取り組んでいる姿勢が伝われば、合格の可能性は十分にあります。
Q. 奨学生としての義務はありますか?
奨学生には、定期的な報告書の提出や、街頭募金活動への参加、レインボーハウスや心塾などの活動への協力を求められることがあります。
これらは義務というより「共に支え合う文化を育む活動」として位置づけられています。
まとめ|あしなが育英会の奨学金を希望する方へ
経済的な事情で進学をあきらめかけている方へ、あしなが育英会の奨学金制度は、金銭的な支援だけでなく、「心の支え」となるつながりも提供してくれる、非常にあたたかく、意義深い制度です。
単なる奨学金ではなく、生き方を支えてくれる仕組み。
心塾やボランティア活動を通して、他者と関わり、社会を知り、自分を見つめ直す経験を得られることも、他の制度にはない魅力です。
申し込みには一定の条件や準備が必要ですが、支援を必要としている学生にこそ門戸は開かれています。
進学に不安がある方、家庭に経済的な事情を抱える方は、ぜひこの制度を活用し、夢をあきらめない道を選んでください。
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